とある黒猫のお話
2019年8月22日
大森ペット霊堂の田島です。
先日、猫ちゃんの個別一任葬儀のお迎えに上がらせていただいたお宅で
こんなお話をお伺いしました。
とある黒猫のお話
猫の闘病生活
お預かりした子は、毛並みが真っ黒な猫ちゃんでした。
その猫ちゃんは元々地域猫として地域の皆様に可愛がられていたのですが、
病気が発覚してからは、お迎えにあがったご自宅の方が面倒を見ていたそうです。
地域猫時代に築いた絆からか、その方の自宅に初めて招き入れた際
なんの警戒もなく、ごろんと転がりおなかを見せてくれたそうです。
闘病生活が始まり、様々な治療を施しました。
少しでもこの子が苦しくないように。
気持ちを伝えてあげる
ある日、その子が目から大量の涙を流したそうです。
その瞬間、
「死にたくない、生きたい」
と、その子の強い意思を感じたとその方は仰っていました。
「わかった、私も頑張るから、これからもまだまだ辛いけど、まだ頑張れるね」
と、その想いにこたえ、猫ちゃんに伝えたそうです。
猫の死
闘病開始から約1年。
その子は見守られる中息を引き取りました。
お迎えの際ご自宅にお邪魔させていただきましたが、
本当にたくさんのお花が彼女を取り囲んでいました。
「こんなにも愛されたのは、あなたがたくさん人を愛したからだよ」
飼い主様のその言葉がとても印象深く残っています。
猫さんの火葬を担当した私
飼い主様とお話をした後、
「来てくれたのが田島さんでよかった」
と、お褒めの言葉を頂きました。
この仕事をするにあたり、どうしたら少しでも飼い主様がペットを快く見送ることができるか
自分だったらどう見送りたいかそんなことを常に考えるようにしています。
少しでも私の想いが伝わり、飼い主様方が気持ちよく送り出すことができたのなら幸いです。
ペットを亡くすことって私たちも辛いんです。
ペットを看取るときは、腕の中で安らかに眠りについてもらいたいと考える人は多いでしょう。
ですが私自身、これまで見送ってきた動物はたくさんいますが、目の前で看取ることができたことは一度もありません。
記憶の中では生きていたその子が次に会ったとき、目には生気が宿っておらず、手足には力もない命尽きた姿を見るのは胸が張り裂けるほどつらく苦しいです。愛していた動物たちを見送るたびに何度も声を上げて泣きました。
過去に動物対話士(アニマルコミュニケーション)の方に、ある1匹の猫を見てもらったことがあります。
「この子の最期に間に合わなかった。誰よりも大好きだったのに看取ることができなかったことについてこの子はなんと思っているか?」
と聞いたところ、
「間に合わなかったのはしょうがないじゃん、お前もやることがあったんだろ?」
「自分のことを好きでいてくれていたの、知ってるよ」
とその子は答えてくれました。
正直本当にその子がこんなことを思っているのかは誰にもわかりませんが、私にとってその返答がすごく心の支えになりました。
ああそっか、そういえばこの子はこんなおおらかで心が広い性格だったよなと、改めて向き合うことができたような気がします。
最後に
ペットをなくした悲しみはとても深いものかと思いますが、それ以上にその子のことをたくさん思い出してあげてくださいね。
それがいちばんの虹の橋にいる彼らへの供養なのではないかと思います。
ペット葬儀・ペット供養を行う大森ペット霊堂
スタッフ 田島
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